☆☆ 慢性前立腺炎の鍼灸治療 ☆☆


下腹部の疼痛・不快感で、内科や泌尿器科を受診すると、前立腺炎と診断されることが多いようです。細菌性の前立腺炎なら抗生物質を投与しますが、非細菌性の原因が特定できない前立腺炎は効果的な治療もなく慢性化し困っている人がたくさんいらっしゃいます。

こうした非細菌性の慢性前立腺炎には、鍼灸治療の効果が期待できます。


鍼治療が奏効する場合、私の見解では、骨盤内の神経痛だと思います。類似した病気がないか調べてみると「骨盤内疼痛症候群」という病名がありました。神経痛が原因ならば、頚肩部の筋緊張が原因の頚肩腕症候群(上肢の神経痛)や腰部の筋緊張が原因の下肢の神経痛、臀部の筋緊張が原因の梨状筋症候群(坐骨神経痛)と同じく鍼治療の得意分野です。


神経痛の場合、痛みが出ている局所よりも、痛みが出ている神経の走行上で、その神経を刺激しているポイントに治療をしなければ効果がありません。その多くは、脊髄から末梢神経として枝が出る神経根付近や、あるいは、その神経が通過する筋肉の緊張や硬結により、神経が圧迫を受けるポイントが神経痛の原因になります。このような原因での神経痛には、薬物療法よりも、はるかに鍼灸治療の効果が期待できます。

 慢性前立腺炎の場合は、腰、臀部のインナーマッスルに問題があり、ここで神経を刺激していると考えます。よって、骨盤内もしくは下腹部へ響くように、鍼をすれば効果が期待できるわけです。また、下腹部や腰へのお灸も効果的です。



前立腺炎・前立腺症(現代医学的指標)

診断のポイント

【1】炎症の存在は局所所見および尿ないし前立腺圧出液(前立腺マッサージ液、expressed prostatic secretion:EPS)所見から判定する。

【2】これらの所見で炎症所見が確認できれば、前立腺炎と診断する。

【3】炎症の客観的な所見がないにもかかわらず、執拗な会陰部周辺の不快感を訴える患者が多く、前立腺(prostatodynia)などといわれていた。しかし必ずしも前立腺に限局した疾患ではないという観点を含めて、慢性骨盤疼痛症候群(CPPS)という新しい概念が提案されている。

【4】CPPSが下部尿路閉塞によって生ずる例があるという意見も強くなっている。これは排尿時に、下部尿路閉塞に対抗するために強い排尿圧が尿道内にかかり、そのために前立腺内腔に尿が逆流し炎症を招く、という機序によるというものである。この考えはさらに、前立腺自体に欠陥があれば尿道内圧が高くならなくても逆流が生じる症例があるのではないかという仮説にまで発展している。

【5】他方では、前立腺癌の疑いで生検すると偶然に慢性炎症像の存在が病理組織学的に証明されたり、不妊症で精液を検査すると白血球が無数に認められて、しかも本人は無症状という例がかなりあることが知られている。

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