☆☆ リウマチの鍼灸治療 ☆☆


リウマチの患者さんは、関節痛や筋肉痛を訴えて来院されます。しかし、その痛みは、使い過ぎによる関節炎でもなければ、疲れがたまった筋肉のコリでもありません。自己免疫による、関節や筋肉の細胞破壊で炎症が起きているのが原因です。免疫異常による全身疾患のリウマチは、実際、症状も移動しやすく、それを一つ一つ追いかけていては、的を射た治療になりません。このことを理解しなければ、ついつい運動器疾患の関節痛やコリの治療になってしまいます。そうすると治療の方向性がますますズレてしまいます。


リウマチといえば、一般的には関節リウマチを指しますが、筋肉リウマチ(リウマチ性多発筋痛症)というものもあります。前者は関節痛を主訴としますが、後者は筋肉痛を訴えます。また、検査上、異常はないがリウマチ様の症状を訴える人もいます。あらゆる除外診断をした上で、全身性の痛みを訴えるなら、線維筋痛症かもしれません。


リウマチに限らず、免疫の病気には、透熱灸が効果的です。透熱灸に対して抵抗がない人は、鍼治療と並行しておこないます。透熱灸は、艾(もぐさ)を直に肌に載せて行います。本来、「お灸をすえる」とは、透熱灸のことをを指し、最近普及している千年灸等の温灸タイプとは、全く効果が違います。透熱灸は、皮膚に火傷の瘢痕(異種タンパク)を残すことで免疫に作用します。温灸では、瘢痕が残らず温熱効果しか期待できません。しかし、このような誰でもできる簡易タイプの灸が普及したため、鍼灸師でも上手に透熱灸ができる先生が減ってしまいました。透熱灸は上手にすえると、小さなホクロ程度のカサブタがつきます。最後は皮膚の色が白く抜けた程度の瘢痕が残るだけでほとんど目立ちません。


治療では、関節や筋肉の発痛部位は、鍼で軽く処置し、あくまで全身疾患として施術します。治療効果は概ね良好です。鍼灸治療だけで完治は難しいですが、痛みの軽減はもちろん、基礎的な体調のコントロールをすることで、発症頻度を減らし、減薬の一助にもなると思います。



関節リウマチ(現代医学的指標)


診断のポイント

【1】朝のこわばりを伴う多発性かつ対称性の関節炎が特徴である.関節炎は時に移動性である.

【2】関節炎は手,特に手指の近位指節間(PIP)関節,中手指節間(MP)関節,手関節などにみられることが多い.

【3】このほか,肩,膝,足首,中足趾節(MTP)関節などにも関節炎が起こる.

【4】外傷や出産を契機に発症することがある.

【5】関節炎が遷延すると,滑膜増殖を伴う.

【6】患者の約7割が中年女性である.



症候の診かた

【1】朝のこわばり(morning stiffness)とは,安静後の関節の可動性の低下した状態をさし,本症に特徴的な症状である.持続時間は本症の活動性の指標となる.

【2】関節炎を起こした関節は腫脹するのみならず,運動痛あるいは自発痛などの疼痛を訴える.腫脹関節数あるいは疼痛関節数はRAの活動性の指標として利用される.

【3】関節炎が進行すると,関節の破壊,腱の断裂・弛緩により特有の関節変形が起こる.手のスワンネック変形,ボタンホール変形,尺側偏位,オペラグラス手,足の槌趾などは本症に特徴的である.頸椎では環軸椎亜脱臼がみられる.

【4】活動期には,微熱,貧血,リンパ節腫脹などの全身症状がみられる.このほか,皮下結節,心膜炎,胸膜炎,多発性単神経炎,肺線維症などの関節外病変が活動期にみられることがある.活動性の炎症が長期に持続すると,二次性のアミロイドーシスが起こる.

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リウマチ性多発筋痛症(現代医学的指標)



診断のポイント

【1】60歳以上の高齢者が,筋肉痛とこわばりを訴えた場合に疑う.

【2】赤沈は亢進し,血清CRPも高値である.

【3】原則としてリウマチ因子や抗核抗体は陰性である.

【4】筋痛があるにもかかわらず,筋肉由来の酵素(CK,アルドラーゼ)の上昇はみられない.



症候の診かた

【1】発病は突然で,ある朝急に痛み始めるなどの日時が特定できる例が多いが,緩徐な発症例もある.頸部,肩,腰部,四肢近位部の筋肉の痛みとこわばりをきたす.

【2】一般に左右対称性で,数週間のうちに症状が完成し1か月以上続く.

【3】筋肉痛の程度は激しく「カミソリで筋肉が削りとられるような」,「起きあがろうとすると大腿の後部が絞るように痛い」,「痛みのために寝返りさえできない」などの訴えがある.

【4】こわばり感は長時間の安静後に強く,寝返りや起床が困難となることが多い.

【5】PMRは一般に関節炎症状を伴わないとされるが,現実には関節痛を訴えるものはかなり多い.約1/3の症例に膝関節痛を,約1/4に肩関節痛を合併する.

【6】筋肉痛以外の全身症状を約半数が訴える.微熱,全身倦怠感,食思不振,体重減少などの非特異的症状に加え,PMRに目立つのは抑うつ状態である.

【7】欧米の報告では15~40%に側頭動脈炎を合併する.頑固な持続性の頭痛,視力障害,高熱などの症状がある場合には,側頭動脈炎の合併を疑って検索を進める.

【8】他覚的には肩,上腕などに圧痛,運動制限がある以外特記すべき所見はない.筋力低下,筋萎縮は原則としてないが,痛みによって筋力が見かけ上制限されることがある.

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